【現代の闇を取材】歌舞伎町ぼったくりバー・トー横キッズ・大久保公園立ちんぼ(東京新宿裏社会)
written by.岡理辺マナヴ
/ページをシェアする\
春を買する人
目の前の非現実的な現実に唖然としました、平日でも20人以上は立っているのです。そしてギラついた目で物色する多数の男性グループが周回しています。本当に日本はどうなってしまうのでしょうか?
いや、現実から目を背けてはなりません。二度と来ないであろうカネと欲望渦巻く『性地』を睨みジャーナリスト魂(←?)に火が着きます。
立ちんぼの子は、お一人様だけでなく三人グループ(ナゼ?)も見えます。30代や擦れた黒ギャルを想像していましたが、白く、かつかなり年齢層は若そうでした。肌を露出気味のファッションに、おおむね黒髪地雷メイクでマスクが鉄板の様です。
『立つ=魅せる』訳ですから、外見も自信のある子しかいないのでしょう。一定レベルに達していないと需要がないので、ある程度自然淘汰されているのかもしれません。
なかなか踏み出せないF本に「どうするん?」とけしかけるも、只でさえ無口な陰キャなので上司としてもたまには威厳を見せなければなりません。
目の前にいた適当な子に「彼女いない歴20年の彼と、お茶してくれませんか?」と声を掛けます。
これは別にF本をさげすんだ訳ではなく、一言で女性を安心させる為のあえての言い回しです。
実際に端正な顔立ちかつイケボなF本なので、世界線が違えばモテ人生であった可能性は否定出来ません。
すると女の子は無表情でピースサイン。何かの暗示でしょうか?無事二人がネオン街に消えて行くのを見送ったのち、私もその辺の子に声を掛けました。
Q&A本番
私「どこかでお話しませんか?」
女の子「外国人?」
私「(少しムッとしつつ)日本人です!」
女の子「どこに行きたいの?」
私「カスタマとかやっすいオススメな所で」
カスタマとは『グランカスタマ歌舞伎町店』の事でマンガ喫茶なのですが、防音カギ付きの部屋が多い事で行為にしばしば利用される様です。
コスパ最強のカスタマは拒否られ、やっすいレンタルスペースに案内されました。
中国人?のおばちゃんが受付する『とまと』と言う名のディープスポットです。45分2600円?くらいだったかと記憶しています。
3畳もないであろうかなりのアングラ感ある狭い内装に唖然としました。(後にググったところ本当か嘘か、純白のシーツをめくると血が染みていたとかいないとか)
若干戸惑っていると、その子は入るなり慣れた手つきで服を脱ぎ始めるのです。生え掛けのムダ毛がリアルでマスクを取るとなかなかの美人、大当たりなのではないでしょうか。
ふとここで我に返り、
私「すみません、今回インタビューに訪れたんです」
(りりしいっ!)
その子「なーんだ、ならタダでいいよ」
エルさん(仮)と名乗るその子に対し、緊張を隠すかの如く用意していた紙に書いた質問を広げます。
神妙な面持ちで、噛み砕く様にゆっくりと話し始めました。
私「月どのくらい稼いでいますか?」
エルさん「多い時は200」
、、マジっすか学園?と思わず心の中で叫んでしまいました、利益率エグいですね。
エルさん「てかそのアイコスいけてるねー」
私「ありがとうございます、メルカリで買いました」
お気にの限定色なので少し嬉しくなり、緊張がほぐれた所で重要な質問へ。
私「なぜお店に属さないんですか?」
エルさん「仲介料取られるし時間がもったいない」
やはりタイパを求める世代『うまい・安い・早い』のファストフード理論でしょうか。所要時間20分と、回転率を意識されている様です。
私「危険な目にあった事はありませんか?」
エルさん「包丁おじさんはみんな警戒してたよ」
つい先日逮捕された大久保刃物男ですね、タイムリー。やはりお店やケツモチがバックにいないので、トラブル対応ができないといったデメリットもあるんですね。
私「どんなお客さんがいますか?」
エルさん「冷たいの喰った人もいるし、最近は外国人観光客も多いかなー」
冷たいの、、覚○○。そしてここでもインバウンドの恩恵があった模様です。
私「何人(なにじん)のかたが嬉しいですか?」
エルさん「お金持ちでいっぱいくれるし中国人!韓国人は無理強いしてくるからチョット」
私「日本人はどうですか?」
エルさん「値切ってくるしめんどくさい、言葉が通じない方が逆にラク」
ほう、意外な答えでした。
私「出会いはSNSもありますか?」
エルさん「ない、めんどー、変な人は拒否れるし直が一番」
なるほど、SNSや流行りのマッチングアプリはサクラが多いのかもしれませんね。更に深い質問に斬り込んで行きます。
私「何の為に公園に立っていますか?」
うーん、と唸ったあと何かを決意した様な瞳で答えてくれました。
エルさん「最初はトー横に混ざりたくて来たけど、気付けばメン地下に沼って推し活の為に稼いでた。
いつメンも、メン地下やホストに貢いでる。
、、今は食べてく為」
メンチカツ?聞き慣れないスラングが並びますが、『いつメン』はいつものメンバー、同じ公園の立ちんぼ仲間の事を指します。
私も初耳でしたが『メン地下』とはメンズ地下アイドルの略で、ググったら出てきましたが地下と言ってもかなりのイケメン揃い。公演だけでなくチェキやハグ、デートなど手広く活動しホスト並に稼ぐそうです。
私「公園での注意点等ありますか?」
エルさん「スニーカー履いている子や、シャワー拒否る子は詐欺ってくるかもね」
盗って逃げる訳ですね。最早おもてなしの国ならぬ、ひとでなしの国です。やはり『瞬足』が鉄板なのでしょうか?
私「最後に、リアリティーを追求しているので良ければ後ろ姿の写真を撮らせて貰えますか?」
エルさん「えー、お金欲しい」
、、とここで打ち切らせて貰いました。
一通り用意していた質問を終えたのでお礼を言い、
私は「いのちをだいじに」
と、精一杯のアドバイスを付け足し立ち上がりました。
そう、F本が心配な件を思い出したのです。
とまとを出るともう日が変わろうとしていましたが、
エルさんは「あと4件は取りたい」
捻り出した助言も虚しく、不夜嬢はまた薄暗い公園へと降り立つのでした。
闇の彼方に見出した答え
さて、いかがでしたでしょうか?
これは世界の遠い国のお話などではなく、同じ日本でもこういう世界があり、犯罪や社会問題となっている現状が身近に感じられたのではないでしょうか?
孤独なのか何なのか、居場所を求め集まり、お金と引き換えに暗闇でカラダを犠牲にしては賑やかな喧騒の中ODで気を紛らわす。そこに倫理観は薄く、一度踏み込むと抜け出す事の困難な沼なのでしょう。
冒頭でも触れた椎名林檎さんの歌舞伎町の女王、その歌詞である事を連想させる秀逸な一節があります。
『ママはここの女王様 生き写しのような私』
これは夜の街の輪廻を示唆していると考えられ、つまり歌舞伎町のきょんさん、トー横キッズ、そして大久保公園のエルさんも、形を変え存在し続けるのかも知れません。
そのカラコン越しに見る闇は、一体何色に見えるのでしょうか?
誰かに与えられた場所ではなく、いつか自分で探し築き上げた居場所が見付かる、私はそう願う他ありませんでした。
、、その後F本はどうだったのか?生々しい表現がありますので、ご興味のある方のみご覧ください。